Guillaume Coutu Dumont & Line Katchoca + qc
Guillaume Coutu Dumontは、クラシックおよびラテン打楽器、電気音響作曲を学んだモントリオールのエレクトロニックシーンの中心的存在。Chic Miniature、EGG、LUCIといったプロジェクトで頭角を現し、ソロ名義Guillaume & The Coutu Dumontsではハウス、ジャズ、ゴスペル、アフロビートを融合させ、45カ国以上に及ぶ十年以上のワールドツアーを展開。2016年以降はモントリオールに拠点を戻し、Vincent LemieuxとともにFlabbergastを再始動、Robbie KusterとNicolas BoucherとのライブトリオAuflassenを結成、新たにVieux Renardとしてのリリースも開始。近年はノスタルジックでアナログ感あふれるアンビエントスタイルを探求し、催眠的な反復と旋律的な温かみを特徴とする作品を制作。2020年にはSFと神話に着想を得た1時間のオーディオヴィジュアル作品『Les Empires』を発表。直感的なリズムと内省的なテクスチャーを融合させ、身体的・感情的に響く音楽を創造し続けている。
Line Katchoは、モントリオールを拠点とする作曲家・オーディオヴィジュアルアーティスト。音と映像を運動、緊張、変容の力として探求する没入型作品を制作。抽象表現と物語要素を融合させ、ライブパフォーマンス、映画、VR、建築的プロジェクションまで活動領域を広げる。作品はArs Electronica、Sónar+D、MUTEK(アルゼンチン、カナダ、日本、メキシコ、スペイン、UAE)、Scopitoneなどで発表され、アヌシー国際アニメーション映画祭(フランス)など権威あるフェスティバルに公式選出。JTTP 2014最優秀賞、MA/IN 2016 Award of Distinctionを受賞し、Society for Arts and TechnologyやEspace IM(media)でのレジデンスも経験。電気音響作曲のバックグラウンドを生かし、ハイブリッドな形式と感覚的没入を追求、身体的・感情的に響く強烈かつ表現豊かな作品を生み出す。コンテンポラリーダンスやビデオゲームのサウンドデザインなど、異分野とのコラボレーションも精力的に行う。
Guillaume Coutu Dumont & Line Katcho — Les Empires
クラウトロックの先駆者Manuel GöttschingやTangerine Dream、そして近年ではAlessandro CortiniやCaterina Barbieriといったアーティストから影響を受け、Guillaume Coutu Dumontは温かみと不完全さに満ちたレトロフューチャリスティックな楽曲を作り上げている。その音楽は、かつての時代に特徴的であったアンビエント・シンセサウンドの系譜を色濃く継承している。
『Les Empires』は、SFや神話に着想を得たシンセ主体の作品で、MUTEK Montrealで初演された。ヴィジュアルはアーティストのLine Katchoが楽曲に合わせて独自に制作している。
Katchoはこのシュールなオデッセイの中で、架空の帝国を題材に権力、崩壊、再生の循環を描き出す。抽象的なヴィジュアル、象徴的イメージ、断片化された物語を融合させ、そびえ立つ巨石が砂へと溶け、支配者が自らの記念碑へと姿を変える夢幻的なタペストリーを紡ぎ出す。権力構造が興亡を繰り返す蜃気楼は、忘れ去られた過去と作り出された未来を反響させる。時間は歪み、歴史は曖昧になり、観る者は野心とエントロピーの心理的残骸の中をさまようことになる。