Nicolás MelmannAR/ES
Nicolás Melmann(1981年、アルゼンチン生まれ)は、音の社会的・詩的な側面を探求するサウンドアーティスト/コンポーザーである。キルメス国立大学で作曲を、バルセロナ大学でサウンドアートの修士号を取得。センサー、ハイドロフォン、データソニフィケーション、フィールドレコーディング、インスタレーション、スポークンワードなどを取り入れながら、エレクトロニック、エレクトロアコースティック、ジェネラティブミュージックを軸に多様なメディアを横断して制作を行っている。映画、テレビ、ダンス、演劇のための音楽制作にも携わってきた。
これまでに6枚のアルバムをリリースし、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカをツアー。メトロポリタン美術館(ニューヨーク)、ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)、ソウル市立美術館(SEMA)、MCAデンヴァー、MUTEK、Sónar Buenos Airesなどの会場・フェスティバルで作品を発表してきた。Red Bull Music Academy(ニューヨーク)、ZKM(カールスルーエ)、STEIM(オランダ)などでレジデンシーを経験しているほか、Paideia Grants(スウェーデン)、ゲーテ・インスティトゥート、Beques Barcelona、アルゼンチン国立芸術基金からの助成・受賞歴を持つ。Alva Noto & Ryuichi Sakamoto、Nicola Cruz、Lydia Lunch、Max Cooperらと共演してきた。
Nicolás Melmann — Música Aperta
『Música Aperta』は音を通して時間の知覚を探求するエレクトロアコースティック作品であり、オーディオヴィジュアルによるイマーシヴ・パフォーマンスである。ストリングのドローン、ボウル、オルガンを組み合わせることで、現代生活の速度に抗うような静けさと瞑想の空間を立ち上げる。
オーディオヴィジュアル版の『Música Aperta』は、20世紀初頭のヴィジュアル作品を再解釈するものであり、ドイツの作家Oskar Fischingerによる初期の映像作品(1927年)に見られる抽象表現に着想を得ている。光を音として捉えるという発想だ。Fischingerは「ヴィジュアルミュージック」概念のパイオニアの一人であり、非具象の幾何学的形態を音楽構造と同期させ、絵画そのものが動きへと変容していく表現を追求した作家である。この抽象性は、イギリスの博物学者・映像作家Percy Smithによる初期の顕微鏡撮影フィルム(1900年)のアーカイブ映像とも呼応し、光と有機的な形態がゆるやかに変容していく、詩的でミニマルな世界を生み出している。