Seulementはモントリオール出身の電子音楽家/オーディオヴィジュアル・アーティスト、Mathieu Arsenaultによるソロプロジェクトである。彼の作品は、技術的完璧さの時代における人間の身体の不完全さを探求するものであり、特にデジタルアートにおける人間の声と身振りの統合・変容に強い関心を寄せている。
もともとはエレクトロニック・ロックバンドTechnical Kidmanのリードシンガーとして知られていたArsenaultは、その後ソロ活動の幅を広げ、オーディオヴィジュアル・パフォーマンス、アルバム制作、実験映画へと表現領域を拡張してきた。
これまでにMUTEK Montréal(カナダ)、MUTEK AR(アルゼンチン)、MUTEK MX(メキシコ)、ELEKTRA(カナダ)、Videocittà(イタリア)、Modular M+(ホンジュラス)、CODEC(ペルー)、Festival DESVIO(ブラジル)、Lunchmeat(チェコ)、SXSW(アメリカ)、Wavelength(カナダ)、Sound/Image(イギリス)、International Film Festival Rotterdam(オランダ)、Festival International des Films sur l'Art(カナダ)、Iceland Airwaves(アイスランド)、Suoni Per Il Popolo(カナダ)など、数多くのフェスティバルで作品を発表してきた。
Seulement — Bricolage Architecture
『Bricolage Architecture』はストップモーション・アニメーションとライヴ・モジュラーシンセシスを組み合わせたオーディオヴィジュアル・パフォーマンスである。
作品を特徴づけるのは、ミニマルかつ激しく明滅する幾何学的抽象イメージであり、一見するとコンピューター生成映像(CGI)を思わせる。しかし決定的に異なる点が一つある。それらはすべて手作業で作られたものだということだ。段ボールを切り抜き、ライトテーブルの上で撮影する、その積み重ねによって生まれている。編集とトリミング以外、写真にはいっさいデジタル処理が加えられていない。線の歪みも、段ボールの破れも、動きの不正確さも、隠すことなくそのまま映し出される。
音楽についても、純粋に電子的な音ではなく、身体性を伴うアプローチが選ばれている。素材となっているのは自分自身の声の録音の断片であり、それをモジュラーシンセサイザーでライヴに変換していく。簡潔に言えば、手を使ってデジタル映像を模した形を作り、声を使って電子的な音を模した音を生み出している。
技術的なプロセスを身体で模倣することで、このパフォーマンスは、非人格化が進むデジタルアート実践に、人間の身振りを取り戻そうとしている。機械が完璧にこなせることを身体で真似ようとすればするほど、音にも映像にも不完全さが生まれる。しかし、紙の破れや声の震えこそが、このパフォーマンスが際立たせようとしているものにほかならない。このプロセスによって、私たちが普段デジタル的な美学と結びつけがちな音や映像に、人間的な質感が宿ることになる。
こうして『Bricolage Architecture』は、人間の身振りの不規則さと、機械の体系的な実行との間に緊張関係を作り出す。そしてそれは、いわゆる「技術的完璧さ」の世界において、「不完全」な人間の身体がどこに位置づけられるのかを問いかけている。
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本作品の上演は、ケベック州芸術文化評議会(Conseil des arts et des lettres du Québec)の助成により実現しました。
Co-presented by MUTEK