Edition 4
第4回目の開催となったMUTEK.JP 2019では、音の探究、オーディオヴィジュアルアートの体験、新しい学び、出会い、新たなコミュニティーの創出、さまざまなコンテンツが体感できる内容を提供することができました。
今年は2016年にMUTEK.JPがスタートした所縁の街”渋谷”に帰還しました。我々には思い出の場所であり、大きな意味を持つ街で、東京のクリエイティブとテクノロジーの中心、文化を発信する渋谷でのフェスティバル開催は、大きなチャレンジであり、かつ多くの期待が高まる形となりました。街の風景がもっとも大きく変化する渋谷は、多種多様なエネルギーが集まることで多くの発想が生まれ、あらゆる挑戦を受け入れる寛容性の高さから、アジアにおけるテクノロジカルなクリエイティブファームの中心地と言えるでしょう。
数字でみるEdition 4
- 全5日間にわたり、7500名以上が来場
- 東京・渋谷の中心に位置する7会場を使用し、25に及ぶさまざまなプログラムを展開
- 11の昼/夜イベントプログラム、2つのワークショップ、7つのインスタレーション&体験型コンテンツ
- 国内アーティスト23組、インターナショナルアーティスト22組が出演
- 41のパートナーが参加
Akiko Nakayama JP / Alexis Langevin-Tétrault CA/QC / Alternative Machine JP / CD HATA x Koyas JP / Chloé Juliette FR/JP / Daito Manabe + Kamitani Lab JP / Dramian MX / Fake Eyes Productions JP / Falaises CA/QC / gadara JP / Hiroaki Umeda JP / Intercity-Express & Push 1 stop JP+CA/QC / KATIMI AI JP / Ken Furudate JP / Kode 9 & Koji Morimoto UK+JP / Konx-om-Pax UK / Kuniyuki x Soichi Terada x Sauce81 JP / LADA (Dasha Rush & Lars Hemmerling) RU+DE / Line Katcho CA/QC / Mari Sakurai JP / Masashi Hirao x Saskiatokyo JP / Mayu Amano JP / Myriam Bleau CA/QC / nor JP / Norimichi Hirakawa JP / Oslon KR / Öspiel FR/KR / Peter Kirn US/DE / Push 1 stop & Wiklow CA/QC / RAMZi CA/QC / Rhizomatiks Research × ELEVENPLAY × Kyle McDonald JP+US / Risa Taniguchi JP / Robert Henke DE / Rrose US / rubi DE / Rutger Muller NL / Ryoichi Kurokawa JP / Sakura Tsuruta & asagi JP / Saskiatokyo JP / Sebu Hiroko JP / Seiho JP / SO JP / Toe on net JP / Veronica Vasicka US / VJ Manami JP / vōx US / Yosi Horikawa JP / Yuzo Koshiro & Motohiro Kawashima JP
Nocturne
渋谷Stream Hallと恵比寿Liquidroomを会場として、4日間にわたり全4公演を開催しました。Nocturneシリーズは、アンダーグラウンドでアヴァンギャルドなシーンに脈打つ革新的なエレクトロニックのリズムに特化したライヴパフォーマンスやDJをフィーチャーするプログラム。
Daito Manabe & Kamitani Labの「dissonant imaginary」、Ken Furudateによる正弦波パフォーマンス、Akiko Nakayamaによるインクの模様と流動性を描くパフォーマンス・インスタレーションAlive Painting、カナダのアーティストPush 1 Stop & WiklowとMyriam Bleauによる日本初公開の作品が披露されました。
目新しいコラボレーションに焦点を当てると、Sakura TsurutaとARアーティストのasagi、saskiatokyoと盆栽マスターのMasashi Hiraoが斬新なライヴパフォーマンスを披露。また、Kode9と日本のアニメーター森本晃司、Kuniyuki × Soichi Terada × Sauce81のグルーヴトリオ、Dasha RushとLars HemmerlingによるデュオLADA、ビデオゲームミュージック業界では名の知れたYuzo Koshiro & Motohiro Kawashima、Intercity-ExpressとカナダのヴィジュアルアーティストPush 1 Stopなど、ベテランアーティストによるユニークなコラボレーションも行われました。
ÖspielによるAIパフォーマンス、Japan Media Arts Festival受賞者Norimichi Hirakawaによる初公演も開催。Rrose、Veronica Vasickaらによる、確率された彼らのサウンドをさらに押し広げるようなプレイは素晴らしいものでした。
A/Visions
2019年度初の試みとして、シアターホールLINE CUBE Shibuya(元渋谷公会堂)を使用し、オーディオヴィジュアルライヴ公演を2日間にわたり開催しました。1日目は、Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY x Kyle McDonaldによるダンスパフォーマンス作品 「discrete figures」、オーディオヴィジュアルアーティスト黒川良一による「subassemblies」の日本初公演。
翌日は、Robert Henkeのレーザーインスタレーションライヴ「Lumiere Ⅲ」、振付家 / ダンサー / ヴィジュアル・アーティストの梅田宏明によるオーディオヴィジュアル・ダンスパフォーマンス「Median」の日本初公演、ケベック3人組Falaisesによる壮大なショーが繰り広げられました。
Digi Lab
専門家、アーティスト、そして一般の人々が、多様な芸術ジャンルにスポットをあて、その社会的背景を投影しながら、創造的なサウンド、ヴィジュアル、テクノロジーの応用を共同で探求するための場が、Digi Labです。
Derivative社とのTouchDesignerワークショップ、フェミニスト系活動団体WAIFUのパネルディスカッション、Robert Henkeによるキーノート講演、Ableton主催による「Music Maker Sessions」を開催。SHIBUYA QWS、渋谷Stream Hallを会場としました。
また2019年度初の試みとして、AI Music Labを開催。人工知能(AI)、機械学習(マシンラーニング)、音楽とサウンドの創造性の領域にわたるアーティストやキュレーター、リサーチャー、エンジニア等を公募し、世界中から集まった15名の参加者と専門家とで、AI技術と音楽・アートの交差点を探りました。この取り組みは、次世代の新たな才能の発掘し、育成を支援することを目的に、Gamma FestivalとEDGEofとのコラボレーションで実現しました。
Exhibition
Sabrina Ratté & Yoshi Sodeoka「Chromosphere」
2人のアーティストによるビデオ作品をフィーチャーした展示をUltraSuperNew Galleryで開催。
Invisible Art in Public Vol.2 Synthetic Landscapes
タブレットやスマホのスクリーンを通さないと見えないAR(拡張現実)をはじめとしたXR技術の制約を逆手に取り、物理的限界から解放されたアートを街頭に展示していくアート展を、渋谷スクランブル交差点ほか、様々なヴェニューで実施。
Canada Goose × Hirakawa Norimichi in collaboration with MUTEK.JP
平川紀道氏による「北」にまつわる様々なデータから抽出される形態を用いた映像インスタレーションを、Canada Goose TOKYO FLAGSHIPにて実施。
Nor - dyebirth_observation
ライフゲームアルゴリズム(生命の誕生、進化、淘汰などのプロセスを再現する簡易的モデル)によって様々なインクを自律滴下し、それらが混ざり合う際に起こる、粘性樹状突起形成やマランゴニ効果など「散逸構造」の特徴を持った物理現象を利用することで、アナログならではの有機的な模様や形を描き出してゆくインスタレーション「dyebirth」。
Alternative Machine - "ANH-00"
ALife研究者集団オルタナティヴ・マシン社が、「音のニッチ仮説」に基づきその場の音環境に適応しリアルタイムにサウンドスケープを生成する試作機「ANH-00」を初公開。
Notes on Blindness - VR
「Notes on Blindness : Into Darkness(盲目に関するメモ:暗闇へ向かう)」は、盲人であるJohn Hull自身の感覚的と心理的な実体験を題材にしたバーチャル・リアリティのプロジェクトであり、同名フィーチャー映画と同時に発表されました。
Ayahuasca - Kosmik Journey - VR
監督:Jan Kounen - アマゾンの熱帯雨林出身の伝統的な先住民ヒーラー、Shipiboが指導する、薬草の分野を通した幻想体験。
This is Québec
MUTEKの本拠地であるケベック州とコラボレーションのもと、ケベック州のデジタルクリエイティヴ業界を紹介する国際展覧会を渋谷Hikarie Hallで3日間にわたり開催。現地の代表団が自身の作品や技術を携えて来日し、一方日本の有数な企業や機関が参加し、エンターテイメントの相互発展を目的としてビジネスネットワーキングカンファレンスが行われました。
このネットワーキングカンファレンスでは、Moment Factory、KDDI、Sony CSL、Square Enix、YAMAHA/NEXO、MUTEK、Elektra、Phi Centre、Society for Arts and Technology、東京大学、モントリオール市など、カナダと日本の有数な企業、組織、機関の代表者が集まりました。エンターテイメントの未来、デジタル・アート、没入型環境、未来都市などの分野が議題として取り上げられました。